健康診断の実施
2016.05.07更新
会社は、労働安全衛生法第66条により、労働者に対して健康診断を実施することが義務付けられています。
また、労働安全衛生法第66条は、労働者は、会社が実施する健康診断を受けなければならないとも定めています。
◆一般健康診断について◆
■健康診断
会社が実施する健康診断には次のようなものがあります。
①雇入時の健康診断
②定期健康診断
③特定業務従事者の健康診断
④海外派遣労働者の健康診断
⑤給食従事者の検便
■①雇入時の健康診断
常時使用する労働者を雇い入れる際に、所定の項目について実施する健康診断。
入社前3ヶ月以内に健康診断を受けている場合に、労働者が、健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、その項目については実施を省略することが可能。
■②定期健康診断
常時使用する労働者に対し、1年以内に1回、定期に所定の項目について実施する健康診断。
診断項目の一部(身長や腹囲の検査など)は、医師が必要でないと認めるときは省略可能。
■③特定業務従事者の健康診断
特定業務に常時従事する労働者に対し、その業務への配置替えの際および6ヶ月以内ごとに1回定期に実施する健康診断。
特定業務:深夜業を含む業務、著しく暑熱・寒冷な場所における業務など
診断項目の一部は、医師が必要でないと認めるときは省略可能。
■④海外派遣労働者の健康診断
労働者を6ヶ月以上海外派遣する場合および、6ヶ月以上海外派遣した労働者を国内の業務に就かせるときに実施する健康診断。
■⑤給食従事者の検便
事業に附属する食堂または炊事場における給食の業務に従事する労働者に対し、雇入れの際または当該業務への配置換えの際に実施する、検便による健康診断。
Q:健康診断の実施時間は?
A:定期健康診断については、所定労働時間の枠内で実施する義務はありませんが、労働者の便宜を図るため、できるだけ所定労働時間内に行うことが望ましいです。
Q:健康診断を受診するときの給与は?
A:一般健康診断は、一般的な健康確保を目的したもので、業務遂行と関連があるものではありません。そのため、受診のための賃金は、支払いが義務付けられているわけではなく、労使間の協議によって支払うかどうかを定めるものとされています。
Q:健康診断の実施費用は?
A:健康診断は労働者安全衛生法で義務付けられているため、健康診断にかかる費用は、会社が負担します。
Q:パートでも健康診断が必要か?
A:パートでも、『常時使用する労働者』に当たる場合は、健康診断が必要です。
常時使用する労働者:次のいずれにも該当する者
・期間の定めのない契約により使用されるもの
(期間の定めがあるときは、1年以上使用されることが予定されている者、更新により1年以上使用されている者)
・1週間の労働時間数が同種の業務に従事する者の1週間の所定労働時間の3/4以上
なお、1週間の所定労働時間の3/4に満たない場合でも、通常の労働者の1週間の所定労働時間数のおおむね1/2以上である場合は、健康診断を実施することが望ましいとされています。
◆特殊健康診断について◆
有害な業務に常時従事する労働者等については、原則として、雇入れ時、配置替えの際及び6月以内ごとに1回(じん肺健診は管理区分に応じて1~3年以内ごとに1回)、それぞれ特別の健康診断を実施することが義務付けられています。
なお、業務遂行に関連して実施する健康診断であるため、所定労働時間内に行われることを原則とし、時間外に行われた場合は、当然割増賃金を支払わなければなりません。
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